近況その他あれこれ - 111
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残りの人生、これからが「生きていく選択」が難しい時代に 岡本依大
「人生の時間軸を前と後ろに広げて考える」シリーズ 3

 我々は今年72〜3歳を迎えますが、これまでに逝去された方々を含め東京オリンピック後の4年間を同じキャンパスで過ごしてきました。卒業後50年の歳月が経過し、過日プレ金祝で再会を果たした各位は、これまでの人生の過程において様々な愛憎離苦や困難を乗り越えてこられたものと拝察いたします。  

 一方、平成7年生まれの孫の世代は平均余命が104歳といわれる時代、「長く生きる」ということがこれほど難しい現実になるとはだれも想像だにしていなかったと思います。1960年代の平均余命は65歳でした。実は我々の残りの人生、これからが「生きていく選択」が難しい時代に突入していきます。

oka1 先ず超高齢社会の問題です。2045年には我々は100歳。流石にもう生きてはいないでしょう。我々の子どもが70歳前後となります。日本の人口は1億人を切り、隣国中国の台頭とも相まって、多死社会に陥った日本は価値観を180度切り替えねば存続すら難しくなるでしょう。地方は間違いなく過疎化し、多くの限界集落が生まれ、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅等は経営が困難となり誰もが特別養護老人ホームに入居できる時代が来ます。反面社会保険料を払ってくれる若者の減少により社会保険料の負担増、それに伴う年金の減額等々、町や村はその存続すら危うくなり、地方は疲弊し、高齢者は益々「生きづらく」なり、所謂「下流老人」の増加で生活保護費が急増していきます。

 実はもっと深刻なのが介護人材・行政マンの不足です。介護を受けられずに老人の孤独死が増えていきます。我々はベビーブーマーの子ども(現在45歳前後)により「日本人」の手で介護を受けられます。しかし我々の子どもは「外国人」の手による介護が大半になると思います。人種差別でモノ申しているわけではないことは趣旨から見てわかっていただけると存じます。日本は移民を受け入れなければ成り立たなくなります。移民問題は国内のあらゆる地域で摩擦を生み格差を増幅させます。アメリカやヨーロッパを見れば一目瞭然です。唯一救われるのは「銃規制」が徹底しているためその面での悲劇は少なかろうと思われることです。

 次に少子化の問題です。両者は密接に連携しているのですが、少子化がこれまでマスコミや政治マターにならなかったのは「票」にならないからです。「移民」も同じです。「消費税」と同じように不人気な政策です。じつはこれらの大変重要な問題に直面していくのが我々の子や孫の時代なのです。後代にツケを回してきた政治の愚でもあり、イコール我々の投票結果のツケでもあります。

oka2 90歳まで残り17年、今現在は何とかなると思われている同級生各位、危機は「今、すぐそこにある」かもしれません。 子どもが離婚して帰ってきたら?その子の再就職がうまくはかどらずパラサイトになったら?長年連れ添った夫婦の片方が重い病気になったら?自分自身が思うように体が動かなくなったら? これらの問題は年金暮らしの夫婦をすぐさま重大な危機に陥れるマターです。離婚した子は可哀そうだと思っても決して同居させないこと。厳しくても自活の選択をさせることが肝要です。いったん受け入れたらゆとりのある生活は失われ、それこそ下流老人へ真っ逆さまとなるかもしれません。

 病気の対処は退院後、介護保険等の社会資源の利用を検討してください。介護保険料を払っているのですから。行政の福祉課で詳しく教えてくれます。いよいよ生活困難になったら生活保護を申請しましょう。今は、家、車、TV等があっても大丈夫です。医療扶助、生活扶助等限定した扶助は誰でも受けられます。もちろん収入規制はあります。

 数年前71歳の男性が新幹線でガソリンをまいて自殺しました。彼は長年真面目に働いて年金を受給しましたが、年金だけでは生活が成り立たず貯金も底をついてこの挙に及んだものです。一部生活扶助は受けていました。彼は体は丈夫で人付き合いもよく、もしこの元気な彼に人手の足りない介護業界が手を差し伸べていれば月に10万円は稼げ、年金と併せれば男一人暮らせてはいけたはずでした。

 さらに追い打ちをかけるのが認知症高齢者の問題です。私も含めいつなるともわからない病です。現在治療法は進行を止める薬しかありません。ただ山中教授の発見したiPS細胞のお蔭で近未来治療法が開発されるやもしれません。でも今後20年以上のスパンが必要ともいわれています。多分我々は対象外です。この近未来1,000万人を超す認知症患者が「思い出せない」ことによって失われる「富」は15兆円に及ぶと推察されています。誰にも知られずゴミ処理されたり、引き出し手不在のまま貯金として眠り続ける莫大な「富」。子どもの大学までの授業料を全部タダにしても必要な額は当面1兆円ほどです。いかに巨大な富を日本は失うことになるか。ゾッとする問題でもあります。各自も遺産は子や孫が判るように手配を済ませておいてください。

oka3 我々が今後100年ライフを生き抜くためには「賢明なる自己防衛」と「健康寿命の維持」が最大重要課題です。特に人生の最終期を迎える同期の各位にとっては「自己防衛」の面で「お金」が大変重要なウエートを占めてくると存じます。これはすでに過ぎ去った現役時代にどれだけアンテナを働かせ対処してきたかが問われます。これからは余裕のある方は「生き甲斐」の発見、再発見をなさってください。そうでない方は何らかの形で月収を増やす方策を考える必要があります。それ自体が生きがいにつながることであればなお結構でしょう。保育園での保育補助、障害児放課後デイサービス等への勤務は4〜5時間で月に7〜10万円の収入になります。元気な高齢者は単純労働でも、子どもに触れることで生きがいを再発見し、働くことで意欲を取り戻し、充実した人生を送られています。福祉の世界は一見単純労働に見えますが人間が相手の奥の深い仕事です。

 私事になりますが、卒業後はテレビ局に在社し、34歳で独立後、紆余曲折を経て、2001年58歳で当時緒に就いたばかりのわが国のNPO活動に触れ、運営し、今年認定NPO法人の申請に漕ぎつけました。保育園、放課後等デイサービス、種々の福祉サービス、介護職員養成学院等を運営し、私財は全てつぎ込んできました。一方で「学びなおし」を思い立ち、私は70歳で、妻は今年72歳で何れも「社会学」の修士号を国立大分大学で取得いたしました。知識はすぐさま陳腐化し、経験は土台を作り、固めます。 前へ!!

 末尾に同期生各位の100年ライフがますます豊かで実りあるものでありますように祈念いたします。

 心理学者ユングは「人が幸せになる6つの条件」を次のように述べています。  

  1. 健康であること
  2. 自分がこれでいいと思うくらいのお金があること
  3. 美しいものがわかる能力
  4. 朝起きた時、しなくてはならないことを持っていること
  5. 良好な人間関係
  6. 人生の障害にぶっつかった時、それを解決できる能力をもっていること と。 

平成30年3月23日 岡本 依大  

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 ちょっと付け足し: この記事は、我々の人生の時間軸を前と後ろに広げてみてもいいのではないかというシリーズを意図したもので、これで3回目になります。子どもたちと先祖のことも含めて、自分の人生を考えてもいいのではないかと。お便りをお待ちしてます。


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上智大学外国語学部英語学科 昭和39年入学43年卒業組ホームページ
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